身体性の地平

心が変われば、考え方が変わる。考え方が変われば、生き方が変わる。心と考え方と生き方(身体)のつなぎ目が脳の神経細胞だとすれば、新しい刺激を受けて神経細胞が変われば、すべてが変わることになる。とすれば、ただ画面の前に座って、「知的情報を摂取する」だけだとしても、人生は変わり得る、身体は変容し得るはずだ。

その意味で、一般に言われるような「机の上のお勉強」と「出て行って経験する」ことの差は存在しないはずだ。どちらも「体験」、身「体」をもって、神経細胞をもって、五感を通して、経「験」しているのだから。誰かが言ったように「私は講壇からすべての人の人生を変え得る」のだ。

もちろん、机の上で座って勉強するのと、外に出て経験するのでは、「体験」の種類は異なるかもしれない。しかし、新しい刺激が入って来て、神経細胞が変化し得る点においては何も変わらないはずだ。ならば、心と考え方と生き方を変えたければ、「机の上のお勉強」か「出て行って経験する」ことのどちらが上かを議論するのではなく、どちらも「体験」すること、あらゆる形の刺激を受け続けることが重要になるだろう。

多くのものがオンラインになった今、私たちの現実はすべてがバーチャルのようになってしまったかのように感じる。しかし、私たちはどこまでいっても身体的存在で、オンライン、バーチャルさえも、脳で、身「体」で、経「験」するのである。身体的存在である私たちがオンラインをより多く、より広い次元で「体験」する時、私たちの心、考え方、生き方はどのように変容していくのだろうか。